What is a Painting of Prayer
私にとって絵を描くという行為は、何かを表現すること以上に、祈りに近いものです。
それは特定の宗教に属する祈りではなく、
もっと静かで、言葉になる前の願いのようなものです。
日常の中でふと立ち止まる瞬間、
あるいは、目には見えないものに触れたように感じる瞬間。
そうした時間の中に、祈りは自然と生まれてきます。
私はその気配を、絵の中にとどめたいと思っています。
祈りの絵とは、何かを説明するものではありません。
むしろ、見る人の内側にある静けさを呼び起こすためのものです。
そこには強いメッセージも、明確な答えもありません。
ただ、光と存在が静かにそこに在るだけです。
黄金の背景は、現実の風景を消し去り、
時間や場所を超えた空間を生み出します。
そこに立つ存在は、特定の人物でありながら、
同時に誰でもない存在でもあります。
それは、見る人自身の内側にあるものと、
どこかで静かに響き合うことを願って描かれています。
テンペラという技法は、時間をかけて層を重ねていく絵画です。
一筆ごとに乾きを待ち、次の層を重ねる。
その繰り返しの中で、絵はゆっくりと深まり、
やがて光が内側から現れてきます。
このプロセスそのものが、祈りに似ていると感じています。
急がず、整え、重ねていく。
見えないものが、少しずつ形を持ちはじめる。
祈りの絵とは、完成されたものではなく、
見る人の中で静かに続いていくものなのかもしれません。
それは、絵の中にあるのではなく、
見る人の中に生まれる時間です。
だから私は、絵の中にすべてを描ききろうとはしません。
余白を残し、光を置き、
そこに何かが現れる余地を残します。
祈りとは、何かを求めることではなく、
すでに在るものに静かに気づくことなのかもしれません。