天から与えられた画才が生む、慈愛の名画
■全く新しいタイプの“宗教画家”の生誕に、我々は、今、立ち会っているのかもしれぬ。人類の未来が混沌とし、地球の命運がつき果てようとする世に、持てる画力を振って、そこに警世の祈りを込める。「運命の女神」は、どの民族にも共通する大地神ガイアのイメージに触発され、描かれたものだろうか。地球を愛でる“見えざる手”を可視化した、極めてメタフィジカルな名作である。この一作は正に、地球人類全てが敬仰せねばならぬ“祭壇画”の名に恥じまい。ローマ法王に献上された「復活・Resurrection」は、エルサレムの聖墳墓教会のイコンのようなあたたかさと、テンペラ画特有の陰影が相乗し、作家の新生面を拓いた一作と言えるかもしれない。日本人離れした感性の冴えは素晴らしいものがある。「天使」は、作家の麗質が集約された逸品。舞い降りた天使は微笑み、幸福を伝える。気高の眼差しに愛と平和への祈りがこめられた光の画である。(デミトリス・ミタラス)
■芸術家・匂坂祐子の作品に示されているのは、夢と色彩と空想の世界。 油彩とテンペラ、あるいはテンペラと金箔を組み合わせた技法を探求する匂坂は、優れた芸術家である。その成果は顕著であり、彼女の作品は、ビロードのような質感を手に入れ、パステル画のような柔らかい色彩的特徴を獲得している。(アグスティン・フランシスコ・マルティネス・カルバッホ)
■このテンペラの魅力は、他には決してないものです。 ヨーロッパ的な格調と日本の美意識が見事に調和しています。 その独自の色彩感覚は、決して他では見られません。(フィリップ・グロウ)
テンペラ画家 匂坂 祐子/Yuko Sagisaka
1961年、静岡県富士市に生まれる。5歳の時、聖母幼稚園で見たラファエロの聖母子像の優しさに魅了され画家を志す。村井竹山師事。東海大学短期大学部生活芸術コース卒業。世界は全て愛でつながっている「無条件の愛」をテーマに、中世末からルネサンス期に描かれた「黄金背景テンペラ古典技法」と北方ルネサンス期に盛んに描かれた「油彩・テンペラ混合技法」を使用した板絵作品を制作。2000年モナコ日本フェスティバルにて寄贈した作品がモナコ王室所蔵となる。その後、エジンバラ他世界各国のフェスティバル、アートフェアに招待される。確かな古典技法、詩的抒情性と優美な色彩が評価され、ミラノの個展ではボッティチェルリの再来と呼ばれる。2007年ローマ法王ベネディクト16世作品献上。受賞:アートの競演ゴールド賞/オーストラリア、日中友好芸術国際絵画藝術展優秀賞他。個展:ミラノ、上海、東京都庭園美術館他。