2001 Milan, Italy: ARTE GIAPPONE “Amore Serenate”
ミラノ個展開催。
素描、黄金背景テンペラ技法、油彩テンペラ混合技法の作品を展示。
個展のオープニングパーティにデザイナーのアルマーニ氏が来場されました!
一点一点丁寧に作品を見てくださり、日本美術にとてもご興味があるようでした。
とてもフレンドリーに会話をしてくださり、サイン記念撮影にも快く応じてくれて、来場者の皆様も大喜びでした。
ミラノのお客様は、美術に造形の深い方が多く手厳しいよとミラノ在住の画家の方からお話を聞いており、テンペラ画はイタリアのお家芸。日本人がテンペラ画で個展を開催するのは、外国人が書道や日本画で日本で個展を開催するようなもの。自分の作品がイタリアの方々からどんな評価を受けるかとても不安でした。
しかし、オープニングが始まると、訪れた来客の皆様から、イタリアの伝統であるテンペラ画を日本人女性が受け継いでくださっている。どんなにコンピューターの技術が進んでも手作業で創る作品の良さにはかなわないと絶賛を受けました。作品に詩的情緒を感じるような物語性を出したいと思っていたのですが、作風がビーナス誕生のボッティチェルリの色彩感覚とナイーブさを持ち、まるでボッティチェルリの再来のようだと喜んで下さる方もいて思いがけない評価にとても嬉しく感じました。
ミラノの個展は、準備からとても大変で、未完成の作品残りのは現地で仕上げようと半月ほど早く到着しました。描きかけの作品は荷物室に入れて持ち込んだのですが、なんと乗り換えでメインとなる黄金背景テンペラ作品を入れたバッグが紛失!迎えにきていただいたギャラリーのオーナーがイタリア語で必ず探し出して下さいと関係者に強く伝達してくださいました。
バックが見つかるまでは仕方がないとあきらめ、美術館を巡ったり、個展の準備を行いました。イタリアで探し物がでてくるだろうかと思ってましたが、バッグがイギリスで発見され、無事戻されました。
それからは睡眠時間を削って作品を仕上げました。すべての作品が仕上がったのが個展開催オープニングパーティの1時間前でした!
展示はブレラ美術館学校の生徒さんたちが手伝いに来てくださり、とても丁寧に展示をしてくれました。
技法の説明のパネルを展示していたら、皆とても興味があるらしく、ノートにメモをとっていました。
イタリアに来て日本人がテンペラ画を生徒に教えるなんて不思議だと思いながら、詳しく説明してあげると、イタリアには修復画の授業はたくさんあるけれど、オリジナルで一から教えてくれる授業はなかなかないとのことでした。
キャンパスを買って描く油絵と違って、テンペラ画は板の支持体から作らなくてはならず手間が何十倍もかかるので、現代では失われつつある技法なんだなあと思いました。
テンペラの技術を絶やすことなく、後世に伝えていくのも大事な仕事だと、イタリア個展を通して感じました。
絵を描いているときは、構想を練っている時から完成まで、常に集中力をを必要とし、構図や色彩の調和、少しでも良い作品に仕上げようといろんなことを考えているので、正直楽しいと感じる事は少ないです。なぜ絵を描くのだろうと考えると完成した時の幸福感や絵を見た方から感動を受けたという言葉が絵を描き続ける原動力になっているように思います。
イタリア個展が終わった夜、一人星空を眺め、充実感と達成感、心地よい幸福感でいっぱいになったのを覚えています。
これからも歴史に残り作品を仕上げるべく、日々努力を重ねていきます!
これからもどうぞよろしくお願い致します。